#3 鍼灸師になるためには専門学校or大学?の質問について
皆さんおはようございますこんにちはこんばんは。
鍼灸師のヤイケです。
最近Twitterで、眼窩内鍼のワードがホットになっていますね。
鍼灸師の先生方の様々なお考えを見ることが出来るTwitterは本当に良いコンテンツだと思います。
では、早速本題にいきたいと思います。
私は高校生の部活動のトレーナーなどをやっておりますので、高校生と接する機会がとても多いです。
つい最近、一人の高校生から
「鍼灸師になるには専門学校と大学のどちらが良いか」
と質問されることがありました。
今回はこの質問内容について触れていきたいと思います。
だからといって「絶対に大学!」といった考えでもありません。
結論からお伝えすると、どちらにもメリットがあると個人的に思っていて、より多くの鍼灸師の先生方の考えを聞いてみたかったので、Twitterでアンケートをとってみました。
高校生から、鍼灸師になるには専門学校・大学のどちらが良いかと質問を受けました💦
— yaike@鍼灸師✖️研究 (@yaike_hari9) 2021年10月4日
私個人的にはそれぞれに沢山のメリットがあるからそれ以外の部分での目標とかによっても変わってくると伝えましたが、皆さん的には『鍼灸師になる』という目的だとしたら、いかがでしょうか??
215票という結果が得られ、様々な鍼灸師の先生方のご意見も頂戴できたので、この結果をもとにそれぞれのメリットについて紹介していきます。(アンケートにご協力いただいた皆さまありがとうございました。)
1.専門学校のメリット
そもそも鍼灸養成学校って全国に何校ぐらいあるのでしょうか?
※昨年度(令和2年度)のはり師きゅう師国家試験を受験した学校別学生数がHPで確認できます。そちらから学校数を引用しています。現在は募集を停止している学校も含まれていますので多少前後します。(盲学校は含んでいません)
専門学校⇨91校
大学⇨12校
「医道の日本社」のHP内に学校一覧が掲載されているので詳しくはそちらをご覧ください。
学校数を見ると専門学校の方が圧倒的に多いですね。
実際私の知り合いの鍼灸師の先生方も、専門学校卒の方が多いです。
ここからは専門学校のメリットについてお話ししていきたいと思います。
専門学校のメリットその1
3年で卒業し国家試験を受験できるので、大学よりも1年先に鍼灸師になることができ、臨床現場にも早く出られること
やはり1年早く資格が取得できることはとても大きいと思います。
鍼灸の学校で習うことは基礎的な技術や国家試験に関連する内容がとても多いです。(国家試験の勉強が鍼灸師としての基礎になるので、とても大切な勉強でもありますが、、)
つまり、臨床現場で必要な鍼灸師としての技術や知識の習得は、学校よりも現場で培われることが非常に多いです。
実際、鍼灸師になってどういった鍼灸院で働くか、お師匠さんに教わるかで、その人の鍼灸師の色が決まることもあります。
長い年月で見れば最初の1年なんてあってないようなものですが、若いうちはその1年の価値は非常に大きいと思います。
また、従業員の多い治療院などに就職した場合は、専門学校卒と大学卒で同い年でも先輩後輩関係になることもあります。
専門学校のメリットその2
様々なバックグラウンドを持った人と知り合うことができ、切磋琢磨し合い勉強できる
専門学校は大学と比べると、一度社会人を経験されていたり、大学を卒業してから入学される方も多いので、様々なバックグラウンドを持った幅広い年齢の方々とともに勉強することが出来ます。
また、そういった方々は仕事をしながらであったり仕事を辞められて学校に来ているので、資格取得のためにより強い気持ちを持って勉強されている方々が多いです。
そのような同級生がいる環境で勉強できることはモチベーションupに繋がると思います。
様々なバックグラウンドをお持ちの方々との繋がりが鍼灸師になってからも続いていくと、情報交換などをした時に幅広い学びを得られることもあります。
また、一度社会人を経験されている方々は勉強の仕方や社会での生き方などを知っているので、そういった生のお話を”同級生”から聞けることは将来を想像する上でとてもプラスになると思います。
専門学校のメリットその3
講師の先生方が様々な経歴をお持ちで、より現場に特化した授業や実習を受けられる
大学に比べ専門学校は非常勤講師の方々が多かったりもするので、実際に臨床現場で働きながら講師をされているため、現場特化のお話が聞けたりします。
大学の先生は大学院を卒業し研究などをして教員になられる方も多いので、専門学校の先生に比べると臨床現場での経験は少ないこともあります。(大学併設の治療院などで臨床をされている先生がほとんどなので、もちろん現場のお話も聞くことが出来ます。)
普段は臨床現場で仕事をされている先生からは、よりリアルな現場に特化したお話を聞くことが出来るので、自分の将来をより鮮明にイメージしやすいかもしれません。
専門学校はさらに分野が細かく別れている学校が多いと聞きます。
鍼灸の資格を取得するだけではなく、スポーツや美容に関する資格も取得できる学校が多いです。
鍼灸の資格に+αで資格を取得できることは、より臨床現場で必要とされる鍼灸師になりますし、差別化できる資格があることは開業などを考えた時にとても有利になります。
ここまで大きくわけて、専門学校の3つのメリットについて紹介しましたが、他にもたくさんメリットがあります。
例えば、専門学校は学校数が多いので学校を選ぶ時に選択肢が広がることもメリットだと思います。
このように専門学校には専門学校のメリットがたくさんあるので、進学を考えている方々は色々な学校の資料請求をして検討してみてください。
2.大学のメリット
次に大学のメリットについて紹介します。
鍼灸学科のある大学は先ほど全国に12校あると紹介しました。
大学だけの数で見ると日本には約780校あると言われているので、そう考えるととても少ないと思います。
ちなみに理学療法士になるための理学療法学科がある大学は、約110校ほどありますので、鍼灸の大学は理学療法の約10分の1しかないことがわかります。
また大学卒の鍼灸師は専門学校卒の鍼灸師に比べてとても少ないです。
こういったことを踏まえて大学のメリットを紹介していきます。
大学のメリットその1
大学卒である「学士」の学位が取得できるので、就職の際に選択肢の幅が広がる
私は「鍼灸学士」の学位を持っています。
世間一般的にも大学に進学する方々は、やはり大学卒という経歴が欲しいという考えが多いと思います。
実際、一般企業の中には大卒以上という求人を出しているところもありますので、特に大企業への就職を考える場合は大学に進学することは必然になる場合もあります。
しかしこれはあくまでも一般の会社に就職する場合であって、鍼灸の業界ではどうでしょうか?
鍼灸治療院や鍼灸接骨院を展開する企業の求人要項を見てみると、募集欄に大卒以上の記載があるところは見たことがありません。
つまり、鍼灸の臨床現場で「大卒」が必要になることはないということです。
しかしこれはあくまでも鍼灸の臨床現場で働く場合に限ります。
例えば、鍼灸の治療に関する商品を作っている企業や、医療機器メーカー、鍼灸治療院のコンサル会社なども鍼灸に関連する仕事ですが、一般企業になるので大卒が必要になる企業も多いです。
一言に「鍼灸師」の資格を活かして仕事をする場所は治療院だけではないので、企業も含め大学卒の方が選択の幅が広がります。
大学のメリットその2
大学院への進学が可能になり、大学教員や研究者にもなれる
大学院に進学するためには一般的に「学士」の学位が必須になります。
現に私も治療院に約3年勤めてから、大学院に進学し大学院生をさせてもらっていますが、これも専門学校卒だとスムーズに進学できなかったと思います。
専門学校の教員は教員養成課程を修了することで教員職に就くことが出来ますが、大学教員の場合は基本的に「修士」以上の学位が必要となり、大学教員を目指す場合は大学を卒業することがほぼ必須条件ということになります。
鍼灸師を目指す過程で最初から「大学教員になる」と考える人は少ないと思いますが、鍼灸師の働き方の一つとして教員の道はありますので、紹介させていただきました。
また、研究者になるためには大学院に進学し、修士号、博士号を取得する必要があります。研究助手ならば大学卒でも可能になるところもありますが、いずれにしても研究者を目指すのであれば大学卒は必須になります。
知り合いの鍼灸師の話を聞く中で出てくる内容の一つに、「鍼灸師になってから、もっと鍼灸のことを知りたいと思うようになったから、大学院とか行ってみたい」と言っている人もいました。
これだけはどの仕事でもそうだと思いますが、実際なってみないとわからない事だと思います。そういった意味では大学への進学は選択の幅が広がることがメリットですね。
大学のメリットその3
大学在学中に時間的余裕が出来やすく、セミナー参加や別の資格取得に時間を使える
これはあくまでも人によります。
しかし大学は専門学校と違い、単位の関係で授業のない曜日も存在します(鍼灸関連の大学に関しては1年生の時だけかも)。加えて、春休みや夏休み等の長期休暇が専門学校と比較して長いので、その期間中に学生の間にしか出来ないことをするチャンスではあります。
そういった期間にセミナーに参加したり、学生の間に取得できる資格の勉強に充てることは出来ますが、中々学生の間からそんな時間の使い方は難しいですよね。。
つまり使える時間が多い分、学生の間に色々な経験が出来るので、そこはとてもメリットだと思います。
私自身も春休み中はバイトをしまくって、学生ながら社会人一年目の一ヶ月の給料と変わらないぐらい稼いだこともありましたし、約1週間かけて資格を取得しに東京に行ったりもしました。
鍼灸師になって治療院等で働いたりしていれば、中々まとまった時間を作ることは難しくなるので、大学在学中の時間はとても魅力的です。
ここまで大きくわけて、大学の3つのメリットについて紹介しましたが、他にもたくさんメリットがあります。
次にTwitterで実際に頂いた、鍼灸師の先生方のコメントを紹介したいと思います。
3.鍼灸師の先生方のお声を紹介
では実際に私のTwitterでの投稿にコメントをくださった方々のコメントを紹介していきます。(コメントをくださった方々、ありがとうございました。)
若いうちは可能性、視野、裾野を広げる意味全てにおいて大学が良いと個人的には考えます。
↪︎やはりこのコメントが非常に多かったですね。
私もどんな鍼灸師になりたいかによって違うと思います。 しかし、高校生の頃から決めて進んでいくのも大変だと思います。なのて時間のゆとりのある大学へ行き、暇な時間でいろんなセミナー出まくるのがいいかと。
↪︎大学のメリットで紹介させて頂いた内容ですね。
若いんだから予備校行って医学部行け言うとけ!
↪︎本件とは関係ありませんが、私も大学進学の時に医学部を諦めましたが、医師になっても鍼灸はできます。
整骨院勤める為に大学に行くのはもったいないと思います。 病院や医療メーカー勤めるなら大学もありだと思います。 今はちゃんと勉強をして 選択肢を広げられる成績を取れるようにした方がいいと思います。
↪︎やはり鍼灸師になってからどうなりたいかが大切ですよね。
大学出身です。 高校から上がったので周りも同年代が多く和気藹々と楽しかったです。 一般教養やチーム医療、古典鍼灸など学べたので総合的には大学に通ってよかったと思っています。 しかし、社会に出て勤めて技術的なことを見ていると専門学校の方がよかったかなとも思います。
↪︎やはり現場を考えると専門学校のメリットが大きいようです。
私もなりたい鍼灸師像があるならば、それが叶う方。そうでなければ大学だと思います。もし自分が鍼灸師に向いていないと気づいた時に大卒、学士の資格があった方が他の業界に転職しやすいと思います。
↪︎選択の幅が広がるのは大学ですよね。
ついでに学士取れるのは海外にて日本語教師やらできるのでいいと思います。研究に興味があればなおのこと。
↪︎これは想像もしたことありませんでした。とても興味深いです。
専門学校しかいってないので隣の芝が青く見えるように大学の憧れはあります。でも私は専門学校には免許を取るための手段としてしか考えていなかったですがそこでの出会いや学んだ事は色んな経験になってます。結局はそこに行って何をするかの能動性かと
↪︎やはり自分次第なのと、将来的なところですよね。
人の道って、そのときどきで変わるものですから。それなら選択肢が多い方がいい。鍼灸師をしながら研究の道に進む人がもっと増えてもいいと思いますし。大学なら働き方の組み合わせがめちゃくちゃ増えますので。
↪︎'選択肢'これは鍼灸だけではなく、人生において非常に大切だと思います。
大学行って3年で国試受かって1年は臨床でガッツリ経験を詰めるというのは羨ましいなーと思いました。専門もどこに入るかが大きいというのは実感。熱心な先生がいっぱい、外部講師がいる、スポーツ、美容鍼学べる、治療法も色々。
↪︎大学のメリットで紹介し忘れましたが、明治国際医療大学では3年時に国家試験を受験でき、合格したら卒業までの残りの1年は鍼灸師として大学附属の病院や治療院で臨床研修があります。
どんな鍼灸師になりたいか?そのビジョンがはっきりしてるなら、それが叶うほうに、してないなら大学かな
↪︎鍼灸師としてのビジョン。とても大切です。
私は専門学校の出だが大学の方が良かったと思う。
↪︎理由を知りたかったですが、もしかすると大学のメリットで紹介させて頂いた内容の中にあるかもしれません。
私が学校に入ったときは専門学校しかなかった。 でももし近くに大学もあって通える状況なら、大学の方がのちの選択肢は増える気がする。それに鍼灸以外の一般教養的な知識もあった方がいいと思うので個人的には大学の方がいいと思う。
↪︎昔は資格を与えるのも厚生労働省ではなく、都道府県知事でしたよね。
今からなら大学かなぁ… 曲がりなりにも研究やって卒論書いておく経験は大事だし、後から大学行くのも大変だし。
↪︎これも大学のメリットで紹介し忘れましたが、ほとんどの大学では卒業論文を書かなければいけません。メリットと捉えるか、デメリットと捉えるかはその人次第ですが。。
大学だとマッサージ師が取れないから自分はやめたんだよなぁ。鍼灸だけ取るならどっちがいいんだろうね? にしても大卒って箔はめちゃめちゃ強い。海外に出る時も 色々なVISAが通りやすい
↪︎VISA!全く想像もしませんでした。
大卒/院退学/専門学び直し鍼灸師が囀ると、 専門3年は、専門知識や技術や国試や卒後や人脈やーの勉強や活動にどっぷりの濃密な日々。逆にアソビ・専門外・自分の予想範囲外の経験をする機会が少ない。 専門大事は当然、でも生きるのに大切なのは「余白の部分の豊かさ」と思う。 高卒なら大学4年かな。
↪︎深い。私もこのコメントに学ばせて頂きました。
4.まとめ
ここまで専門学校、大学のメリットについて様々な内容を紹介させて頂きました。
しかし、この記事を読んで、余計に悩む人もいるかもしれません。
最後にまとめますが、どちらに進んだとしてもデメリットはありません。
「鍼灸師になるために」の場合、どちらも国家試験を合格すれば鍼灸師になれます。
なので、大切なのは「どのような鍼灸師になりたいか」を明確にすることです。
鍼灸師になって何をしたいか?
そのビジョンを叶えるには専門学校・大学、どちらの方が良いかを考えてみてください。
私で良ければいつでもお答えするので、TwitterでDMを頂ければと思います。
専門学校のメリット
・資格取得までの年数が短い=早く鍼灸師になって臨床現場に出られる
・大学に比べて学費が安い=その分のお金を色々なことに投資できる
・様々なバックグラウンドを持った幅広い年齢層の同級生に出会える
・講師の先生方のお話等で臨床現場のイメージがしやすい
大学のメリット
・「学士」の学位が鍼灸の臨床現場以外の道に進む際に必要になることがある
・研究者や大学教員等を目指すことが可能になる
・専門学校に比べると時間に余裕があるので資格取得やセミナーなどに参加しやすい
・同級生の年齢が比較的近い
簡単ではありますがそれぞれのメリットをまとめました。
もう一度書きますが、どちらにもメリットばかりですので鍼灸師を志す際は、さらに具体的になりたい鍼灸師像をイメージして、その将来像へ必要な学校を選んでください。
最後に
鍼灸師は本当に素晴らしい職業です。
これからの鍼灸業界を担う皆さんと共に仕事ができる日を楽しみにしています。
※まだまだブログになれません。。。拙い文章になっていますが、暖かい目で見守っていただけると幸いです。。。